還付の確定申告をしただけでは全額還付されないケース 源泉徴収税額の納付届出手続について
フリーランスなどで翌月受取がある場合は要注意
フリーランスの方は報酬等の内容によっては相手先から売上の支払いを受ける際に源泉所得税を差し引かれる場合があります。売上の入金が翌月になる方もけっこういらっしゃるのではないかと思います。そのような場合において相手先が正しく支払調書を作成したとすると下図のようなものになります。A社からは毎月10万円(源泉所得税10,210円)、B社からは毎月20万円(源泉所得税20,420円)の報酬があり受取が翌月になるケースで作成しています。支払金額と源泉徴収税額の下段が年間の合計で、上段が年末時点で未払金額又は未徴収税額となります。
この支払調書を元に国税庁の確定申告書作成コーナーで未納付の源泉徴収税額を入力をすると下図のような画面となります。なお支払調書が正しくないときや受領していないときは正しい処理をした額を入力してください。
確定申告書の第1表は下図のように出来上がります。上記を除き第1表はこちらで設定した内容で入力しています。
そしてこのまま申告すれば、52番の還付される税金228,194円が戻ってくると思ってしまいそうなのですが、実はこのままだとおそらく58番の未納付の源泉徴収税額30,630円が差し引かれて振り込まれます。
源泉徴収税額の納付届出書を提出しないと未納付分は返してもらえない
前段のように申告しても全額戻ってこないのはなぜなのでしょうか。実は源泉徴収税額の納付届出手続が必要で源泉徴収税額の納付届出書を提出しないと未納付の源泉徴収税額を返さないことになっているからです。
源泉所得税額の還付金の対象となる源泉所得税額のうちに未納付のものがある場合には、その未納付の部分に相当する金額については還付されないとなっています。前段の場合においては58番の未納付の源泉徴収税額30,630円はこの手続きを踏まないと返ってきません。確定申告書作成コーナーで作成する段階でこの手続きが必要なことの注意喚起は確認できず、税務署に聞くところによれば、未納付の源泉徴収税額があるときは、還付金の中からこの未納付分を差し引いて振り込むだけで特に案内をしないそうです。正直どうなのかと思ってしまいます。翌月入金の方は還付金があるときは、申告した還付される税金が全額入金されているのかちゃんと確認することをお勧めします。源泉徴収税額の納付届出書を提出する場合において提出時期は未納付の源泉徴収税額が納付されたときとなっていますが、この届出書の書き方を見る限り支給された日(源泉徴収された日)で良いようです。
人的役務の提供(請負を除く。)の収入認識時期 【2023年5月28日追記】
追加で補足します。そもそも事業所得の計算において人的役務の提供による収入すべき時期は下記となっております。(5)のただし書きの部分は例えば毎月受ける顧問料で、予め支払日が決められている場合などです。その支払日の売上として収入認識することとなります。