創業融資について③制度融資編
借り入れの経緯
前回は日本政策金融公庫からの借入について私の事例を含めて紹介しましたが、今回は私の利用したスタートアップ資金という制度融資のお話をしようと思います。
開業してすぐの9月に公庫の融資で設備購入や当面の運転資金として200万円の申し込みをして10月には公庫から無事に希望額の融資を受けることができました。
実はそこからわずか1カ月の間で状況が変わりまして営業車の必要性を感じだしました。事務所は地下鉄の駅近くなので、ご来所や私からの公共交通機関を使った訪問のみを当初は考えていたのですが、開業2-3か月の時点ではHPなどで近隣からの問い合わせがまったくなく、少し離れた場所の知り合いの先生からの紹介や既知の方の引き合いを受けることが何件か出てきました。公共交通機関だと片道1時間半など訪問に時間がかかりますが、車だと30分くらいで行くことができます。
営業車があれば同じ移動時間でもサポートできる範囲が格段に広がるため、導入を決めました。30万円くらいの乗れれば良いだけの安くて古い車であれば、200万円の借入からでもなんとか工面できましたが、税理士として訪問するので、ボロすぎる車だと印象があまり良くないなと思ったのと、公庫以外に融資を銀行も通すことで、銀行との人脈も必要と思ったので、銀行を通じて申し込む制度融資を受けることを決めました。
福岡市のスタートアップ資金について
融資の中には制度融資というものがあります。制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証協会が連携して提供する融資のことです。中小企業や小規模事業者の資金調達サポートを目的としており長期・低金利で借入することができます。私が利用したのは福岡市のスタートアップ資金という制度です。年利1.3%と低金利で10年以内の融資を受けることができます。
資金名 | スタートアップ資金 |
対象者 | 事業を営んでいない方であって,市内で新たに事業を開始される方 または 事業を開始後2年以内の方で,それまで事業を営んでいなかった方 |
資金使途 | 設備・運転 |
融資限度額 | 3,500万円(創業前は2,000万円) |
融資期間 | 10年以内 |
うち据置 | 2年以内 |
融資利率 | 年1.3%(女性または50歳以上の利用の場合1.2%) |
保証料率 | 年0.00% |
保証人 | 原則として 個人:不要 法人:代表者 |
担保 | 不要 |
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申し込みの流れ
取次金融機関から申し込み創業・再挑戦計画書や必要書類を提出します。金融機関から県の信用保証協会に信用保証依頼をし、信用保証協会での審査や本人の面談などを経て、信用保証協会の保証決定します。その後に銀行の審査(信用保証協会の保証が決定していればほぼ形式的)などを経て融資が決定します。融資自体は申し込んだ金融機関が行います。設備購入の融資の場合は、融資目的通りに使われるように金融機関から借入金の入金と同時に購入先への振り込みを求められます。公庫の新創業融資はこのようなチェックは通常していないので、大きな違いです。ご注意ください。なお県の信用保証協会は一般的には公庫の審査よりも細かにチェックが及ぶ印象です。
私の経験談
私の場合には公庫の融資決定から1か月ほどしか経過していないので、色々と信用保証協会の方に詮索もされました。まず公庫で本当は300万円を借り入れたかったのに200万円の借り入れしかできなかったから制度融資を受けようと思ったのではないか疑念を持たれました。ちなみにもともと公庫では200万円の融資申し込みでした。もし借り入れが希望通り決定されていないと、審査の際に何か懸念があったのではないかと思われるようでした。また公庫に提出した事業計画書の提出とそこからの変更点の説明なども必要でした。面談前に信用保証協会の審査はかなり細かいと思われたので、面談では前述の経緯や営業車購入の効果の説明、資料についても公庫よりも細かにたくさん追加準備して臨みました。
他の税理士の先生のブログなどで、公庫の融資を申し込んでから銀行を通した制度融資をすると、公庫の審査を通った実績もあり、融資額のトータル額も大きくなりやすいというものを見ていたので、それほど厳しく審査されないと思っていたのですが、思いのほかに審査はかなり細かに見られました。ただし上段のようにしっかり準備したので、制度融資の審査としてはかなり早いちょうど1か月ほどで融資の100万円は入金され、即ディラーに振込をして営業車を購入することができました。